【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第6章 藍白 - aiziro -
ある日、
定期的に俺の御殿に来て、あの子に字を教えているらしい三成。それに着いて来て俺に説教してるのは、いつのまにかあの子の兄気分の秀吉さんだ。
「なんで亜子があんなことをしてるんだ。」
「知りませんよ。」
「知らないはずないだろう。一緒に住んでるんだから。」
「あの子が何をしてようと、俺には関係のないことです。」
「…仲良くしろって言ったよな。」
「それに、はい、と言った記憶はありません。」
「ああ言えばこう言うな、お前。」
はあ、とため息をついて、
そのタレ目をキッと釣り上げる秀吉さん。
何でこんなに俺が怒られなきゃいけないんだ、とそっぽを向くとまた深いため息が落とされた。
第一、俺は今日一日休みだったんだ。
あの子の予定を俺は知る気もないけれど、あの子は今日は三成との約束の前にいつもの床掃除をやるつもりだったらしい。小袖を捲り上げてパタパタと床をかけているのを見かけた。
そんな時に限って、予定してた時間より早く来た三成。そして今日に限ってついて来た秀吉さん。
『亜子?!お前何してる!』
床に這いつくばっていたあの子を見た途端、
血相抱えて近寄って、急いで身なりを整えさせると、俺のところに怒鳴り込みに来たってわけだ。
全く、俺の方がため息をつきたい。
「はあ…、だからあの子が勝手に、」
「じゃあ止めろよ…、一応信長様の気に入りの女なんだ。表向きはゆかりの姫だ。」
「わかってますよ。」
「女中の手伝いじゃなくもっとあるだろう…、」
「知りません。俺は関係ないんで。」
「あのなあ、」
体裁ってもんもあるんだ、
と何度目か分からない小言を聞き流していると、勉強を終えたのだろう、三成とその子が部屋にやってきた。俺と向き合って険しい顔をしている秀吉さんをみて、二人してきょとんとしている。