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【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -

第5章 若菜色 - wakanairo -





信長様に出来なかった質問を投げかけると、

「それは、」

少し口ごもった後、丁寧に説明してくれた。



「確かにあんたを世話するのは不本意だ。だけど、役割を割り振ったら俺になっただけ。

今、織田軍は厄介事をいくつも抱えている。

双方の勢力を抑えておくこと、本能寺で信長様を狙った賊を洗い出して捕まえること。それから昨日、あんたを襲った男…、あんたの情報をどんな経路で入手して、なにに利用しようとしてたのか、探りだす必要も出てきた。あんたはここへ来て日が浅いのに、あんたと信長様のつながりを知ってる人間がいるってことは…、」



そこまで説明されてハッとする。



「…織田軍の情報が漏れてるってことですか?」
「ただの馬鹿じゃないんだね。…そういうこと。間者がいるのか、外部から逐一動向を探ってる奴がいるのか、どっちかはわからないけど。」
「……、」



つまり、私は忙しい時に、抜け出して襲われたことで仕事を増やしてしまったんだ。と、背筋を凍らせる。

唖然とする私を見て、

察したのか家康様は呆れたように一つため息をついて、また話し出した。



「あんたが逃げ出したのが原因だけど、情報が漏れていることが早めに露見してよかったんだ。政宗さんが当面、西方の守備増強の指揮を担うことになってる。光秀さんは本能寺の一件の捜索。で、秀吉さんと………、もう一人のやつが、信長様の身辺警護だ。

俺は、あんたを助けたって理由で、あんたを狙った浪人の素性の調査をすることになった。ついでに、あんたのお守りもね。」



視線や言い方は厳しいけど、

家康様も、やっぱり優しい人だ。

私が分かりやすいように一つ一つ丁寧に説明してくれて、そして私が気にしてるのに気づいてさり気なく宥めてくれる。そんなつもりは無いのかもしれないけれど、今までまともな会話をしたことがなかった私にとっては、すごく驚くことだった。

この時代は、生死との距離がすごく近い。

刀を交えること、そして戦というものに慣れることはないし、それを受け入れることも出来ないだろうけれど、市を行き交う人々も武士も、現代と同じ人間だ。

どこか、暖かい。



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