【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第2章 月白 - geppaku -
「「え、」」
事態が飲み込めず、彼と顔を見合わせて固まっていると、辺りの音や先程までの雨、風が止んだ。
いや、止んだっというより、
消えたの方が正しいかもしれない。
時が止まったような感じがして、彼がハッとしたように動き出す。何が何だか分からない私はその場に立ち尽くしていると、私と彼の周りが黒い霧のようなもので包まれ始めた。
「…君!危ない!」
「え?」
彼が叫ぶのと、
私の体が宙に浮いたような感覚になったのは、
どちらが早かっただろう。
真っ逆さまに落ちて行くような、
何かに揉まれるような感覚。
もしかしたら死って、こういう感覚なのかもしれない。そんなことを考えながら、私は波に飲まれるように意識を失った。