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【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -

第4章 青褐 - aokachi -





「家出娘が戻ったようだな」
「亜子…まったく、なに考えてるんだ、お前は!」



やっと城にたどり着くと、待ち構えていたらしい秀吉様が目を吊り上げ、そばへとずんずん歩み寄ってきた。そのあまりの剣幕に、身を縮めると、頭に乾いた手ぬぐいがふわりとかけられた。



「…え、」
「女が一人で夜分に出歩くな。しかも雨のなか…あーあ、びしょぬれじゃねえか、」



怖い顔をしながらも、秀吉様が私の髪をワシャワシャ布で拭いてくれた。

訳が分からなくて目を白黒させてしまう。



「家康、お前もこれを。」
「…どうも。」


さんに手ぬぐいを手渡され、家康様も無造作に濡れた頬を拭っている。

すごく怒られると思った。
勝手に出て行ったし、私のせいで夜中なのに仕事をさせてしまったし、また間者と疑われて牢にでも放り込まれるかと思ったのに…。



「あの…、すみません、」
「…謝るくらいなら逃げ出すな。」
「ふっ、逃げ出したかと聞いて、お前の演技にしてやられたかと思ったが…、そうじゃないようだな。何故城を抜け出した?」
「…城下町に行きたくて、」



嘘は、ついてない…。



「ほう、なら何故女中に言っていかなかった?」
「夕餉の時間で、忙しそうにしてたから…道は前教えて頂いていたので一人で行けるかと…、」
「それで道に迷ったと言うのだな。全く世話の焼ける小娘だ。」
「女中たちが心配して騒いでいた。この件は後できっちり叱る。だけどのその前に髪を乾かせ。」



そう言って秀吉様は頭をポンと撫でてくれる。



「風邪ひかないようにしっかり乾かせよ。」
「ありがとうございます…秀吉様、」
「様は他人行儀だな。そんなに畏まらなくていい。」
「…でも、」
「言うこと聞いておけ。」
「…はい、秀吉さん。」
「……まあ、それでいい。無事で何よりだ。」



にっこり笑って私を見る秀吉さん。

その雰囲気はどこか兄のように暖かで、思わず寄りかかってしまいたくなった。城を抜け出したこと、秀吉さんが一番疑い、怒ると思っていたから余計に。

すると、後ろから、



「…無事ってわけでもなかったですよ。」



と、家康様が呟いて、泥だらけでビショビショの着物を指差す。その言葉に、バッと私を貫いた光秀様と秀吉さんの視線が痛い。



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