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【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -

第3章 刈安色 - kariyasuiro -





早速自室で篠さんに着付けを教えてもらっていると、



「亜子様、信長様がお呼びです。」



そう襖の外から声がかかって、背筋が凍る。

広間にお越し下さい、と言われて何も悪いことはしてないのに何故か怖くて仕方ないのは、信長様から出るあの不思議な威圧感からかな。






「…亜子でございます。」
「入れ。」



昨日の今日で追い出されることはないだろう。

だって私は間者じゃないし、
そんな言い訳と呼ばれた理由を考えるけど、なんで呼ばれたかはさっぱり分からない。

昨日と同じ様に、広間に集まる武将達。1番下手の空いているところに座ると、向い側にいた三成くんがにっこり笑いかけてくれた。



「…ほう、幾分か顔色が良くなったな。」
「はい。」
「その調子で俺に幸を運んでいろ。」
「あの、御用は何でしょう…?」



上座から私を見下ろして、口元を緩める信長様は、私を本気で幸運を運ぶ女だと思っているみたい。そんなことない、なんて言ってもきっとこの人が聞き入れてくれないのは、昨日嫌という程思い知った。

だから敢えて突っ込まずに本題を尋ねてみる。



「貴様に関わりのあることだ。漏らさず聞いておけ。」
「え?」



私に関わりのあること…?
不安な気持ちで背筋を伸ばすと、豊臣秀吉が重々しく口を開く。



「本能寺で信長様を襲った賊について報告が入りました。族の手勢は少數だと考えられます。後を追わせましたが…足跡を消して逃げおおせた後でした。」
「あの火事のなかそこまでするとは、見事な手腕だ。」
「敵相手にふざけたことを抜かすな、光秀」
「相手はよっぽど俺たちに顔を知られたくないらしいな。」
「天下統一のため西へと領土を拡大してきましたが…信長様を狙う不心得者を捉えるのが先決です。」



あの時の犯人を捕まえるための会議なんだ…。

そう理解すると同時に、余計に私が呼ばれた理由が分からなくなる。問いかけようにも、険しい雰囲気に口を挟むことが出来ない。



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