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【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -

第17章 浅蘇芳 - asasuou -





三成くんと別れて、買った反物を抱え直すと部屋に戻る。

すると部屋の前に家康さんの姿が見えて、
胸がドキンと跳ねた。



「…あ、帰ってきた。どこか行ってたの?」
「…待っていて下さったんですか?すみません…、ちょっと城下に反物を買いに行っていて、」
「城下に?」
「はい。」



部屋の前で待たせてしまって申し訳ないな、

と思いながら、中に招き入れる。

抱えていた反物を下ろし、城下に行ったことを伝えると家康さんの顔が少し険しくなった。




「秀吉さんに城から出るなって言われてるんじゃなかったっけ。」
「…あ、…三成くんが一緒だったので大丈夫かなと思って、…勝手に出てすみません。」
「…あいつと?」
「はい…。」




三成くんと一緒なら大丈夫と思って、
何も言わずに外に出たのはやっぱりまずかったかな。




「すみません…、」
「謝らなくていい。…でももう少し城下に出るのは我慢して。」
「え?」
「…誰が一緒でも。分かった?」
「はい…。」




険しい顔のままの家康さん。

秀吉さんには、春日山城からここに帰ってきたとき、信長様も家康さんも居ないし心配だから、そういう理由で城から出るなと言われた。でもきっと、噂を私の耳に入らないようにするため。


家康さんも、きっと、
私に噂をきかせないためにそう言うんだろう。


その心理は分からないけど、


私に無駄な心配をかけないためか、
それとももっとほかに理由があるのか。

分からない。きっと前者だと信じているけど…。私がこの噂を知っていると言ったら、彼はどんな反応をするんだろう。


怖くてそんなこと言えないから、


このまま知らないフリをして、もう少し幸せを感じて居たいとおもう私はずるい女だ。




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