【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第15章 濃紅 - koikurenai -
「…仕方ない。
もとより名前を戦に巻き込んでしまったのは俺の責任だ。
おいしい獲物を目の前にして和平とは気が進まんが、顕如の策に踊らされた落とし前はつけなければなるまい。
この協定受けてやる。」
その言葉で、また張り詰めた空気に戻る。
「では、早々に顕如の動向を追っている政宗様と光秀様に協定の話をすぐにお伝えします。合流し策を練りましょう。」
「良いだろう。すぐに奴らにしらせろ。」
「はっ、」
さっきまでの何も分かっていないような顔をしていたのに、三成の顔色もすっかり変わっていた。そこから、戦の話がどんどん進んでく。
一人居心地の悪そうな顔をしている亜子に気づいて、
信長様にだけ一言告げて彼女を外に連れ出した。
「亜子、」
「…はい、」
「あんたは明日には安土に返す。長旅になるだろうから、もう体を休めてな。」
「…また、戦が始まるんですね。」
「ああ。でもあんたが心配することじゃない。」
やっと戦が終わったばかりで、
もう次の戦の話をしてるんだ。
不安なのは仕方が無いとも思う。この子が本当に戦のない世から来ていたとしても、そうでないにしても、女はただ待つことしか出来ないんだ。不安にさせてしまうのは、仕方が無いかもしれない。
「今度こそ良い子で待ってて。」
俺の言葉に亜子は小さく頷いた。