【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第15章 濃紅 - koikurenai -
「…まあいい。」
「え?」
「…会談は明日の昼。」
迎えにいくからそれまで天幕の中にいること。
そういうと素直に頷いた亜子。
陣営に戻る前にすっと離された手に名残惜しい気持ちになるけど、そのままそれぞれの天幕に戻った。
次の日。
何もない平野の真ん中に立てられた天幕。
そこが今回の会談の場だ。
昼前に亜子を迎えに行くと、そこには何故か三成の姿があって、思わず眉をひそめる。
「なんで、お前が…、」
「家康様も亜子様をお迎えに上がったのですか?」
「…そうだけど、」
「奇遇ですね。私もお迎えに来たところなのです。上杉から戻られてから、お顔を見ることが出来ていませんでしたから。」
「…見ただろ。帰ってきた日に、」
「あのとき亜子様は熱で眠られておりましたし。」
元気なお姿を見ることが出来て安心しました。
そういう三成ににっこり笑いかける亜子。仲が良いのは知ってるけど、少し腹が立つ。
「行くよ。亜子。」
「あ、はい。」
三成は放っておいて亜子にだけ声をかければ、ぱたぱたと駆け寄ってきて。らしくない、そう思いながらも、そのまま三成に見せつけるように腰に手を回して外に連れ出した。
さすがに天幕の外ではまずいと思って、手を離したけれど、少し顔を赤くする亜子に満足する。
でも、肝心の三成には、
「家康様と亜子様はとても仲がよろしいのですね。」
全く伝わって無いみたいだったけど。