【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第14章 薄桜 - usuzakura -
「…無事だった、とは言うまいか。」
「ご心配をおかけして申し訳ありません。」
私がぼーっとそのままの姿勢で座っていると、颯爽とやってきた信長様は私の前にドンと座ると、にやりと笑った。
その笑顔に、どこか安心感を覚えて、情けなく笑い返す。
「…あの、信長様、雪ちゃんは…、」
無事ですか?
牢にいる間もずっと気になっていたこと。私をかばってくれていた彼女が、無事でいるのか心配で仕方なかった。
「心配いらん。」
「…ぁ、」
「青い顔をして貴様が連れ去られたと知らせをよこしたのはあれだ。貴様が心配するほど柔な女ではない。」
「…良かった、」
貴様のことをそれは心配して居ったからな。
元気な顔を見せてやれ、
そう言うと信長様は、懐から何かを取り出すと私に差し出した。手の平を出して、受け取ると、そこには、
あの耳飾りがあって、
信長様が、謙信様の忍びが雪ちゃんに文と一緒に託したのだと教えてくれた。
「…よかっ、た、」
なくしたとばかり思っていた。
走って逃げたときか、林の中で捕まった時か、牢に運ばれる最中か、分からないけど見つかることはもう無いだろうと、ほとんど諦めていたから。
嬉しくて、思わず涙ぐむ私を見て、
「…もうさらわれたりはするな。」
そう言って、
フッと私の頭に触れた信長様は天幕から出て行った。