【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第2章 月白 - geppaku -
「間者ではありません。
姫でもありません。
ただ成り行きで…、目の前で襲われそうになっていた、ッ信長様のことを助けただけです。
幸運を運ぶことも、この城で暮らすことも出来ません。」
そう一息に言って、ハッとする。
面白いものをみるような目で私を見る織田信長…、信長様の他にたくさんの視線を感じて、パッと振り返る。
豊臣秀吉は眉をひそめているし、
明智光秀は怪しい笑みを浮かべている。
伊達政宗は豪快に笑い出し、
石田三成は優しい笑みを浮かべ続けていた。
名前の分からない彼は無表情のまま。
やってしまった、と思うけれど、私は真実を述べただけだ。
未来からやってきたなんて、そんなこと説明出来ないけど、間者でもなければ姫でもない。ただの一般市民。ここを出ればいく場所もないけれど、帰る方法も何も分からないけど、私は、何としてでも現代に帰りたいんだ。その為にはここを出て、佐助くんを見つけ出さないといけない。
この城にずっと滞在する訳にはいかないの。
そう思って、もう一度目の前の信長様に目を向けると、にやりと口元を歪めてこう言い放った。
「その要望は飲めぬな。もう決まったことだ。」
「…そんな、」
声を震わせて、俯くと、
「信長様の命は絶対だ。俺もお前の疑いを解くわけではないが、諦めろ、亜子。」
豊臣秀吉の宥めるような声が響く。