【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第13章 瓶覗 - kamenozoki -
「はい。家康さんが今回の戦に来ているのはしっていました。亜子さんが一時期あなたの御殿にいたのも。それから、二人がちょっと良い感じなのも。」
「………。ふざけてないで早く説明してくれる?」
「…俺はさっきも言ったとおり、謙信様に使える忍びですが、一番に味方するのは亜子さんです。何の関係もない彼女を戦に巻き込みたくはない。謙信様も普段はこういうことをする人ではないのですが、よほど戦に飢えていたのでしょう。」
「俺も関係のない女を戦に巻き込みたくはない。だが、謙信様が警備を強化しているし、ゆかりの姫だか妾だかしらねーけど、俺らは表だってあいつをかばうこともできねー。織田軍のやつとは手を組みたくないが、」
「亜子さんを救い出すには、あなたに協力して貰うのが一番だと思いました。」
「それで、俺をここで待っていた…。」
じっと見つめてくる佐助の目線を受け止める。
手を下すことは出来ないが、亜子のいる牢までの抜け道を教えること、逃げるための道を用意する事は出来る、
そういう佐助に俺は迷うことなく、
「今すぐ案内して。」
そう答えた。
敵の手を借りるのは不本意だ。
だけど、少しでも確実に亜子を助け出す方法があるのなら、その道を選ばないという選択肢は俺にはない。
「…夜中は牢もいつもより手薄です。」
今日の夜更け前に案内します。
そういう佐助に礼を言うと、木々の間から見える春日山城を睨み、そこにいるはずの亜子のことを思った。