【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第13章 瓶覗 - kamenozoki -
安土城の警備は萩姫のこともあって今は万全の体制なはずだ。それなのにあの夜、俺にも気づかれることなく亜子の部屋に忍び込んだ。
亜子が手引きしたわけではないだろう。
だってあの子の周りには光秀さんの忍びがうようよしてる。
「…上杉の忍びです。」
「おい!佐助、」
「でも、俺は一番に亜子さんの味方だ。」
…この話はおいておきましょう。
未来から来た話についてもまた亜子さんに確認してください。彼女は記憶をなくしていることにしたのをとても後悔していた。彼女だけで説明できないなら、俺も納得のいくように説明するのを手伝います。
「今は、友人だって言う話を信じてもらえたら良い。」
「…たしかにその入れ物を俺は持ってる。」
「はい。巾着に入れていたので俺の推測が当たって良かったです。」
「は?」
「これは、亜子さんが調合した軟膏だそうなので、きっと家康さんにも渡していると思いました。」
「…亜子が調合したの?」
「はい。薬学を勉強しているようです。」
…亜子が薬学の勉強をしているなんて、きいてない。
でもこの入れ物や、
辛子色の巾着の話をしっているところからみて、
佐助とあの子が知り合いであることは間違いがないだろう。
「…お前の話を全部は信じられない。」
こいつと亜子が未来から来たという話は特にあの子にちゃんと確認するまで信じられない、けど、
「でもあの子の友人だっていうのは信じる。」
「…ありがとうございます。」
「で、上杉の忍びと武田の腹心が俺に何の用?」
ここでうだうだとこいつらの相手をしている暇はない。
そう思って問いかける。
すると、無表情な顔をきゅっと引き締めた佐助は、俺を待っていた理由を話し出した。