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【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -

第13章 瓶覗 - kamenozoki -





「…なんか頭が痛くなってきた。」
「俺もだ。」
「すみません。でも事実なんです。」



佐助が話した亜子の話。

彼女も佐助もこの時代の人間ではなく、500年後の世界から来た。まさか信じてもらえるわけがないと、黙っているうちに記憶を失ったことで話が進み、亜子は何も言えぬまま織田家ゆかりの姫として、安土城に住むこととなったらしい。

でも、言われてみたら、

確かにあの子は、

字の読み書きも出来なかったし、最初は着物の着方も時の数え方もしらなかったようだ。記憶もないみたいだし、頭を強く打ち付けたショックから忘れたのだろうと思っていたけど…。

…守りたいとそう思わせる

あの危なっかしさはこの時代の人間じゃないからなんだろうか。



だからって…、




「その話をどうやって信じろっていうの。」




この意味の分からない不確かな話をすぐ信じることは出来ない。この佐助って男がどこまで信用できるかも分からないんだ。

…それにこの話じゃ、




「…お前と亜子が友人だっていう話も信じられない。」




そういう俺に、佐助は、

そうですよね、

と無表情なまま言うと、
懐の中から見覚えのある丸い箱を取りだした。



「…これと同じ物をあなたも持っていますよね。」
「………、」
「辛子色の巾着にこれが入っていませんでしたか?」
「なんで…、」
「すみません。見るつもりはなかったんですけど、偶然亜子さんが家康さんにこれを渡すところに居合わせてしまって、」
「はあ?」



確かに佐助が持っている箱は、
あの日亜子がくれた巾着に入っていた軟膏だ。

でも渡すところに居合わせたって、

つまり、



「…忍び込んでたの。」
「亜子さんにどうしても用があったので。」
「あんなに夜分遅くに?」
「あ、安心してください。襲ってはいません。」
「そういう問題じゃない。」



敵と一緒にいるこの男が、

安土城に潜り込んでいたと言うこと、
深い意味はなくても女の部屋に忍び込んだということが問題だ。

とぼけた顔をしている佐助にそれが伝わったのかは分からないが、横にいた真田のほうが慌てているのが分かる。



「…あんた何者?」


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