• テキストサイズ

【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -

第13章 瓶覗 - kamenozoki -





「…ゴホッ、私は、敵国の者です。」

「………だからなんだ、」

「放っておいて風邪をひいても、あなたには何の関係もありません。」

「では、ここで風邪をひき凍え死ぬというのか?」

「…何故、死ぬことになるのですか?」



私が死ぬのは、

どちらかといえば、

目の前のこの人の手にかけられる時だと思う。

人質としての役割を終えた時か、信長様の命と引き換えにか、分からないけど、風邪で死ぬより殺される方が可能性が高いと、

そう思う。

…人質として連れてきたのは自分なのに、何故私が死ぬことをこんなに心配してくれているんだろう。



分からない…、



「風邪などで死ぬつもりはありません。」



私を殺すかもしれない

上杉謙信。


でも、彼も武田信玄も、本当に悪い人ではなくて、恐ろしいとは思えない。だから余計に、

何故、どうして、

という気持ちが消えない。

何故、こんなにも

信長様たちと睨み合っているのか、



分からない。




「…まあよい。また来る。それから、」
「……ゴホッ、」
「上杉様とは呼ぶな、謙信と呼べ。上杉では誰を呼んでいるか分からん。」



それだけ言い残して、

彼は牢の先の道へと姿を消した。



/ 240ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp