【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第2章 月白 - geppaku -
温かい布団に包まれて目を開けたら、目の前には見慣れない天井が広がっていた。
「…ここ、は、」
京都の宿かな…?
戦国時代にタイムスリップをする悪い夢を見ていた気がする。現実ように思っていたけど、やっぱり私の夢の中だったんだ。そう安心して息を吐く。
「…あ、起きたの。」
「…え?」
ゆっくりと身体を起こして部屋を見渡していたら、静かに襖が開いて一人の男性が入ってきた。
宿の方なんだろうか。
私を見てそう言うと、テキパキと部屋の文机の上にあった湯呑み茶碗に白湯を注ぐ。そしてその傍にあった包みと一緒に私に差し出してきた。
「飲みなよ。」
「…ありがとうございます。あの、ここは、」
「信長様があんたのために用意した部屋。」
「…え?」
信長様…?
「…はあ。あんた、政宗さんの馬の上で気を失ったんだよ。」
「じゃあ、今は…、」
「…今がなんだか知らないけど、早くそれ飲んで褥から出てきなよ。信長様があんたを待ってる。」
そういうと彼は、外に控えていた女中らしい人に声をかけて部屋から出て行った。
これは夢の続きなんだろうか。
手渡された白湯と包まれていた薬のようなものを飲むように女中さんに勧められて口にすれば、待ってましたとばかりに身なりを整えられていく。その様子をまるで他人事のように見入って、気づけば豪華な襖の前に正座させられていた。
これは、
「夢じゃない…、」
そう呟いて、両手で顔をバシンと叩いてみる。
何をしてるのかと慌てる女中さんたちに曖昧に笑いながら、頬に痛みを感じていた。やっぱりこれは、夢じゃない。私は、1582年、戦国の世にタイムスリップしてる。嘘でしょ、と漏らした声は、女中さんには聞こえなかったみたいだ。