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【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -

第12章 深紫 - fukamurasaki -





お前も近寄るなよ、敵の妾だ、深入りするな。

そう信玄に忠告した謙信は着物を翻して去っていく。

あの麗しい姫がこの城にいるなら会いに行かないわけがない、どういうわけか知らないが、あの子がここに連れてこられた背景には何かある。

信玄はニヤリと笑って名前のいる牢へ真っ直ぐ足を進めた。




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一方、広間と壁一枚隔てた廊下で、佐助と幸村が息を潜め聞き耳をたてていた。



「…っ、なんてことだ、」
「おい、佐助。亜子って、」
「ああ、安土の俺の友人に間違いない。」
「あのイノシシ女が信長の愛妾って、ほんとかよ。」
「いや、そんなはずないと思うけど…。」



謙信と信玄の会話を聞きつけた佐助と幸村は、眉を寄せ合ってため息をつく。謙信様の突発的な行動はいつものことだ。

戦には関係のない女を火種にするなんて、

謙信様らしくない。それほど戦に飢えて退屈していたのか、とため息をつく。



「彼女を巻き込むわけにはいかない…。」
「お前がそう言うなら、俺も手を貸す。」
「え?」
「信長を倒すことは、俺と信玄様にとっての悲願だけど…、無関係の奴を巻き込むようなやり方は、納得がいかない。」



幸村の言葉に、佐助が深く頷く。



「謙信様には悪いけどどうにかして彼女を逃がす。」



自分には手を下すことは出来ない。
俺は謙信様の部下で、彼を裏切ることは出来ない、ならどうしたら、

そう考えた佐助の脳裏に、

ある人の顔が浮かんだ。



「……、」



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