【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第2章 月白 - geppaku -
佐助くんの適応能力の高さにはついていけない。
私より4年間も長くこの時代で生きているんだ。それなりに馴染んでいるのは納得できるけど、それでも、今の私にはこの時代を楽しもうなんて気にはなれない。
「…君も俺と一緒に来ればいい。」
「え?」
「帰る方法は、必ず俺が見つける。」
その温かい言葉に涙が出そうになった。
今の私には佐助くん意外に頼れる相手はいない。私には生きていく術も、帰る方法も何も分からないから。出会ったばかりの彼を頼るのはすごく申し訳ない気がするけれど、同じ時代から来た唯一の仲間。
彼の手を取らずにはいられなくて、手を伸ばした次の瞬間…。
「亜子、どこだ?」
この声は…豊臣秀吉?!
「…っ、」
豊臣秀吉の声が聞こえると同時に、ふと険しい表情を浮かべた佐助くんは闇に姿を溶けこませてしまう。
え、?!と思ったけれど、辺りを見渡しても佐助くんの姿はどこにも見当たらない。声を上げる暇もなく、大きな馬が二頭近づいてきて、馬に乗った豊臣秀吉に見下げられて唇を噛んだ。
「ようやく見つけた。」
その鋭い目線にいたたまれなくて俯く。