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【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -

第2章 月白 - geppaku -





佐助くんは京都にある大学の大学院生で、私と同い年の24才。宇宙物理学を専攻しているらしい。



あの日、佐助くんは、自らが割り出したタイムスリップ理論を立証できるか確かめるために本能寺の跡地に来ていた。真剣に考えていたから私が側にいたことも気づかず、彼が異変に気付いた時にはもう遅かった。

ワームホールという時空の歪みは、あの雨雲が本能寺に来ると共に広がり始め、私たち二人を飲み込んでしまった。





「目の前で雷が落ちただろう?」
「…うん。」
「俺はあの時二つに石碑が割れたことで、時空も二つに割れたと考えてる。」
「…え?」



俺は君と一緒にイムスリップして、今から4年前の戦国時代に飛ばされたんだ。この4年間でわかったんだけど…、ここは、学校で習う戦国時代とは違ってる。俺がタイムスリップした先は、上杉謙信が倒れた現場でそこで俺は上杉謙信の命を助けた。

歴史の通りなら、その時に上杉謙信は死んでいたはずだ。その上同じように、本来は死んでいるはずの武田信玄もこの世界では生きていて、



「今日、君は織田信長を助けた。」
「…うん。」
「タイムスリップした時に歴史が変わった、というよりも、二つに割れたと言った方が今の状況にあってる気がする。」
「…私たちは現代に帰れるの?」
「それは…、」



まだ分からない。



「同じ場所にいたから君もタイムスリップしただろうと予想して探してたけど、俺より4年後に飛ばされてたのは予想外だった。」
「じゃあ、つまり…、」
「うん。またワームホールが開いたとしてもわ現代に帰れる保証はない。」



それに、俺たちのしたことは、歴史を歪める行為だ。時空が一つのままなら、ワームホールはそれを正すためにまた開くかもしれない。でも、もし時空が二つに割れたなら、俺たちがこの時代でしたことは、これから先の未来には影響しない。



だからもうワームホールが開く保証もない。



「…そっか。」
「そんなに落ち込まないで。せっかくだから君もこの時代を楽しめばいい。」
「佐助くんは…、楽しんでるんだね。」
「ああ。無職ではいられないから手に職をつけて、忍者になった。」



そういう彼の言葉に開いた口が塞がらなかった。




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