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【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -

第10章 紺鼠 - konnezu -





「信長様、この方は、」
「………喜作か。織田軍の傘下の大名の息子だ。」
「………、」
「貴様は思っていることがすぐに顔にでるな。萩姫の兄ではない。」
「…ッ、」
「萩姫の兄の名は一之助だ。」





私はそんなに分かりやすいのかな、

そう思いながら、



喜作さん、彼から届いた大量の文を眺める。



現代なら、名前も顔も知りもしない人にこんなに文を送ったりしない。SNSを通して知り合う人もいるみたいだけど、名前も顔も知らないなんてことはない。

ましてや、


『麗しい姫君に会いたいと焦がれてたまらない。』


こんな内容…。

何だかストーカーみたい、と背筋に嫌なものが流れるのを感じて、それでも部屋に戻って一通一通お断りの返事を書いた。





それなのに。



喜作さん、

彼だけはまた文を送って来た。



何度お断りの文を送っても、何度でも諦めないといった内容の文が送りつけられてくる。

大抵の人は、一度文を送ったら、心に決められた方がいらっしゃるなら、とあきらめてくれた。中には同じように文を返してくる人もいたけれど、数回お断りの文を入れて返事を書かないようにしていたら自然と文は来なくなっていた。

それなのに、喜作さん、彼だけは、



『…必ず私のものにしてみせます。』



ゾッとするような内容の文を送りつけてくる。

他の方と同じように数回お断りの返事を書いた。

返事を書いても、
書かなくても、

文が来なくなることはなくて、
毎日毎日必ず一通は届く文が気持ち悪い。

毎日文を私の部屋に届けてくれる女中さんに喜作さんからの文は届けないようにお願いした。


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