【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第9章 舛花色 - masuhanairo -
「…君が今までどこにいたか教えてくれる?」
邪魔者も居なくなったし、
と茶目っ気たっぷりにそう言う佐助くんに慌てて姿勢を直す。そうだ、二人のせいで本来の目的を忘れるところだった。
私は、佐助くんに今まであったことを話す。
信長様と囮捜査に行き、この時代が怖くなって佐助くんを訪ねて行こうとしたら、道に迷って浪人に襲われかけたこと。それを家康さんに助けてもらって、彼の御殿で生活して居たこと。一人で訪ねて行こうにもいけなくて、ずっと連絡出来なかったこと。
「…狼煙を上げようとも思ったけど、」
佐助くんが見つかると大変だと思って、
そう言いかけて口を噤んだ。
「…俺が織田軍の敵側だってこと、気づいたんだね。」
無表情だけど、少しだけ顔を曇らせてそう尋ねてきた佐助くんに、こくりと頷く。
「そうか…。俺も君がそんなに大変な目に合ってるとは知らなかった。君をあちこち探し回ったけど、徳川家康の御殿はノーマークだった。それは見つからないはずだ。」
「ごめんね、」
「気にしなくていい。君が無事で良かった。…君が気づいたなら俺のことも話とかないといけないな。」
俺が支えているのは上杉謙信。
そしてさっきまでここにいたのが、武田信玄と、その家臣の真田幸村だ。俺たちは織田軍の敵で、俺と幸村は偵察のために安土城下に潜り込んでいる。
「そんなこと私に言っていいの…?」
「大丈夫。きっと君は織田軍の武将に言ったりしない。」
「ふふっ、すごい信頼だね。」
「唯一の現代人仲間だからね。」
私が少しでも口を滑らせたら危険なのに、
素直に教えてくれる佐助くん。唯一の現代人仲間、なんだかその言葉がくすぐったくて、笑ってしまう。
「そうだ。君に言うことが二つある。」
「うん、何?」
「一つは君自身のこと。もう一つはワームホールについて、だ。」
「………っ、」
さっきまでのふわふわした雰囲気が一転。