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【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -

第9章 舛花色 - masuhanairo -






「…はあ、お願いだから帰って。」



お前がいると余計に酷くなる。

冷たくそう言い放つと、萩姫は少したじろいて、それでもここに居座るから、女中を呼んで城下町の宿に連れていくように言った。



「…家康、」
「何。…お前の父親に言って連れ帰ってもらってもいいんだけど。」
「……分かった。今日は帰るわ。また明日来る。」
「来ても俺は会わない。」



ギュッと着物の裾を握りしめた萩姫は、悔しそうに少し目に涙をためて部屋を出て行った。



少しでも優しくしろ。

秀吉さんによく言われる言葉。

萩姫は絶対優しくしたら付け上がる。それに顔を見れば腹が立って、優しくなんて出来ない。したいとも思わないけど。



…俺が優したいと思うのは亜子だけだ。

泣いた顔を見たくない、
笑っていて欲しい、

とそう思うのもあの子だけ…。



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