【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第9章 舛花色 - masuhanairo -
「城下町に行くんだって?」
「あ、秀吉さん…、」
「俺も城下に用があるんだ。途中まで一緒に行こう。また迷子になったら大変だしな。」
「…もうならないです、」
分からないだろ?お前はそそっかしそうだ。
そう言って私の頭を撫でる秀吉さん。
城に戻った次の日、早速城下町に出ようとすると城門で秀吉さんに会った。あの時は、まだ道がよく分かってなかったけど、今はちゃんと分かるのにな、
なんて思いながら、一緒に城を出る。
「今日は何処に行くんだ?」
「…城下町に行くのは初めてで、どんな店があるかも分からないから今日は見学です。」
「そうか、なら美味しい甘味屋を教えてやる。」
「…でも、秀吉さん用事があるんじゃ、」
「そのくらいの時間はある。」
ありがとう、そう言ってオススメの甘味屋まで連れて行ってもらう。そこは城下町の端っこにあって、穴場のお店らしい。
自分の稼ぎもないから見るだけでいい、
佐助くんを探すのが目的だし、
そう思って篠さんが渡そうとして来たお小遣いも断ったのに、
秀吉さんは遠慮するな、
その一点張りで、その甘味屋で私の分の団子を注文し、勘定をするには十分すぎるお金を私に渡して、用を済ませに行ってしまった。
「夕刻までに城に戻れよ。」
口を酸っぱくして何度もそう言って。
美味しい団子をほおばって、城下町の端だからかあまり人通りのない道を眺める。
…夕刻までまだ時間はあるけど、
この広い城下町でどうやって佐助くんを見つけよう。
とりあえず、人通りの多いところまで戻って、お店を見ながら歩いてみるしかないかな。
そう思って腰をあげる。