【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第9章 舛花色 - masuhanairo -
「加えて、昼間なら城下町に出ることも許可する。必ず城の者に伝えて行け。一人で黙って抜け出せば、また見張りをつける事になるぞ。」
私がこの時代に慣れたのか、
私の見方が変わったのか、
分からない。
あんなに帰りたくて仕方なかったのに。
でもこの時代の人に触れていくうちに私自身が変わっていく気がする。
現代に帰れるのかすら分からないなら、
この時代に慣れるしかないと思ってたけど、ここまでこの時代の人に深入りするとは思わなかった。
人の暖かさがなければ
今きっと私は私で入れていないだろうけど。
現代の友人や両親に会いたいと思う反面、帰れないならそれでも構わないと思ってしまっている…
すごく矛盾した心。
「…それなら、明日城下に行ってもいいですか?」
「好きにするといい。」
城下に出る許可を頂けたなら、ずっと音信不通にしていた、
…佐助くんを探さなきゃ。
もし、現代に帰る道が現れたら、
私は、現代に帰る道を選ぶのだろうか。
それとも、この時代に残る道を選ぶのだろうか。
決めかねてしまうくらいには、この時代に染まってる。
…きっと、それは、
恋が、
芽生えてしまったから。