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【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -

第9章 舛花色 - masuhanairo -





日が落ち始めた頃、

部屋に秀吉さんがやって来て、萩姫が帰ったから天守に行けと言われた。ここに来るのは、家康様の御殿に移れと言われた日以来だ。



「来たか。」



不敵な笑みを浮かべて、あの日と同じように悠々と腰掛ける信長様。



「家康の所から帰りたくないと駄々をこねるかと思ったが…、」
「へ?」
「フッ、呆けておらず側へ来い。」
「……はい。」



真っ直ぐ私を見つめる目は相変わらず冷たい。

それでも、この時代から逃げたい。
現代に帰りたい。

とただ漠然と気持ちを整理できて居なかったあの時と比べて、織田信長、という人を怖いとは思わなくなっている自分に驚く。

もし命のやり取りをする場面に直面したら、

と思うと恐怖で足がすくむけど、家康様の話を聞いて思った。



…彼等にはわたしには到底理解できない



胸の内を熱く燃やすほど戦わなければならない理由があるのかもしれない、

と。



鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス

確かに信長様は容赦のない方かもしれない。
常に自信満々で何を考えてるか分からないし。

でも、この句を詠んだ人は、私と同じように、この時代のことをよく知らない平和な世で生まれた人なんだろうと思う。

だって、この方は容赦はないし言葉は偉そうだけど、




「篠から、貴様は針子の仕事が出来ると聞いた。この城では、針子の仕事を手伝えば良い。貴様は一応、姫だからな、女中の仕事をするのは体が悪い。じっと部屋に閉じこもっていて、また逃げ出されても堪らんからな。」



別に悪い人ではないから。



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