第3章 氷帝学園幼稚舎
「これは左手だ。」
本当だ...。ともちは驚いている。
天然なのか、単純にバカなのか。考えていた矢先、左手の小指がピリッと一瞬の痛みと共に痒くなった。
「何だ、これは...。」
見ていても何をしているのか分からない。
「血を採っているの。」
一本の細い管を、確かに俺の血が通る。
「何の為だ?」
混乱しそうになるのを必死で抑えた。
「運命かどうか確かめたくって。」
内心、呆れはしなかった。
そう言うのは信じるべきではない、
そう出かかったが、純粋な彼女の希望を壊すようで、
なんだかとても言えなかった。
白い紙が血によって赤く染まり、だんだん目がチカチカする位の鮮やかな黄緑色に変色する。
その紙や針が入っていた箱を横目に見てみると、赤のまま、変わらなければ陰性、黄緑になれば陽性だそうだ...。
「ねぇ日吉くん。」
もしかして、何か素敵な言葉をかけられるのかもしれない...。
「何だ。」
俺らしくもない気がするが、ドキドキしてしまう。