第4章 □ 日吉とマネージャー
Ω性が劣勢だなんて、誰が言い始めたのだろうか。器用で、物覚えも良く、マネージャーの仕事も手際が良い。
ただ、テニス部のマネージャー、もちは時々、天然でドジである。
『Guten morgen!跡部部長!宍戸先輩!
Mornin!長太郎、樺地くん!』
「おはようございます、先輩達。」
爽やかなのと元気なのが度を越えたもちの挨拶に、その場にいた全員がぞろぞろと挨拶を返す。
「おい、白田、今日はやたらと機嫌が良い様じゃねぇの、何か楽しい事でもあったのかよ?」
跡部がもちの休日の出来事について聞こうとする。跡部は、かなりもちの事を可愛がっている。
『い、いやぁ、色々と幸せだったんですよ』
「なんだ、朝から惚気話かよ~?」
少しずつ顔の赤くなって行くもちを宍戸がからかう。惚気であることに変わりは無いが、“惚気話”をするつもりは無いようだ。
日吉がもちの耳元に近づき、
「可愛かったぜ、楽しかった...なぁ...?」
と囁く。
耳に直接囁いてくる声にドキドキしながら、もちは顔を隠す。