第18章 Krebs
『はぁはぁ
もうっ!しつこーいっ!!』
私すっかり忘れてましたっ!
自分がちょっとした有名人だったと言うことをっっ!!
バスを降りて目的地に向かう途中
下校中の男子高校生に囲まれてしまった
どうにか抜け出してただいま爆走中
やっと捉えた目的の高校の校門を
一気に駆け抜け体育館を目指した
『ちょっとそこの人!
バレー部の体育館どれ!!』
「えっ!い、一番はしの・・・」
『遠っ!!!』
やっとの思いでたどり着いた所で
「な~に騒いでんだ?」
タイミングよく入り口から顔を出したのは・・・・・
『一静っ!』
「は?陽葵ちゃん?」
走っていた勢いのままギュムッと陽葵は一静に抱き着いた
「なんかしんねえけど役得役得♪」
体当たりに近い抱き着きにもビクともせずに
嬉しそうに抱き締め返して抱き上げ何事もなかった様に
一静は体育館に入り扉を閉めた
扉の外では騒ぎを聞きつけた先生が
無断で入って来た人たちに校外に出るよう注意している声が聞こえた
『はあああ~疲れた・・・・』
ぐて~と一静に凭れて荒い息を整えていると
くいっと顎を持ち上げられた
『なに?』
「乱れた息に赤く染まる頬・・・・
色っぽいね~陽葵ちゃん
大好き徹♡って言ってみて♡」
『大っ嫌いお・い・か・わ』
べーっと舌を出しそっぽを向いた