第6章 Cancer
「良いね~
こっちに目線くれる?次は見つめあって
陽葵ちゃんそのままで
黄瀬君、腰抱き寄せてくれるかな」
「陽葵っち
モデルに向いてるんじゃないッスか?」
『そうかな?』
カメラマンさんからの要望に応え色々とポーズをとる
黄瀬君近いんですけど・・・
「じゃあ最後は好きに動いていいよ~」
カメラマンさんの言葉に
待ってましたっ!と黄瀬君が私を抱き上げた
『キャッ!
ちょっと黄瀬君何してんの?!』
「せっかくの海なんッスから泳がないとね♡」
ついてこないと写真撮れないッスよ~♪と
はしゃぎながら海に向かって走り出した
「おぉ~冷たいッスね!」
『黄瀬君だけ狡いっ
ねえおろしてよ』
じゃぶじゃぶと私を抱き上げたまま海入っていく黄瀬君
「ん~・・・キスしてくれたら下ろしてあげるッス♡」
『・・・・・は?』
「頬っぺたでいいから
これは撮影、演技ッスよ?」
演技って言われても・・・
チラッと周りを見るとキャキャと愉しそうなスタッフ
仕方ないなぁ~ばれない様小さな溜息を吐いて
黄瀬君の頬に唇を寄せた
「オッケー!!
これで撮影は終了
黄瀬君陽葵ちゃんお疲れ様」
「お疲れ様~」
『お疲れさまでした
ところで黄瀬君?』
「ん~なんッスか陽葵っち?」
『おろして欲しいんだけど』
にこにこ微笑み歩く黄瀬君は全然おろす気配無く
スタスタと控室へと歩いて行きやっと下ろしてくれた
「いや~陽葵ちゃんホントありがとう!!
陽葵ちゃんさえ良かったらこれからもモデルやってみないかい?」
『でも、部活してるから・・・・・』
「オレもバスケしてるッス!
大丈夫ッスよ暇なときだけのバイトでいいんッスから!?
因みに何してるんッスか?」
『バレー部のマネージャー』
「じゃあ陽葵ちゃん
月刊バリボーのマスコットガールやらないかい?
月に一度の撮影に参加してくれるだけでいいから」
それくらいならとオッケーを出すと
社長に言っとくッス!とまるで自分のことの様に喜ぶ黄瀬君
海に遊びに来ただけなのになんでこうなった?