第5章 Taurus
「腹へった~晩飯なに?」
頭を拭きながらお風呂から出てきた鉄朗は
いつもの鉄朗だった
『今日は魚だよ~
秋刀魚じゃないけどね』
「おっ♪良いね~魚
秋刀魚は秋まで我慢するわ」
出来上がった料理を並べていく
チラッと顔を伺うがいつもと同じで
美味しそうにご飯を頬張っている
さっきは怒ってたよね?
2時間も連絡できなかったら
怒るのは当たり前か・・・
でも私のせいじゃないよね?
「ごちそーさん
洗い物しといてやるから
風呂入ってこいよ」
『あっうん。ありがとう』
食べ終わった食器を集め
さっさとキッチンへ入って行った
お部屋に着替えを取りに行ってお風呂に入る
体を洗い湯船に浸かり一日の疲れを落とす
『髪伸びたな~
そろそろ切ろうかな?』
中学入学時は肩上だった髪
ずっと切らずに過ごしいつの間にか
背中の中程まで伸びていた
短いと癖っ毛だから跳ねるんだよね・・・
お風呂から上がり着替えを済ませ
髪を拭きながら階段を上り
部屋のドアに手をかけた
「陽葵ちょっと良いか?」
鉄朗から声を掛けられ振り返る
コイコイと手招きをされ鉄朗の部屋に入った
『どうかしたの?』
「あ~・・・・・
さっきは悪かったな」
ポリポリと頬をかきながら苦笑いを浮かべた
『鉄朗は悪くないよ
心配かけてごめんね』
無事?仲直りして他愛ない話に花を咲かせていた
『クシュッン』
「悪りぃな長々と話して
風邪ひくなよ」
『うん。髪乾かして寝るね
おやすみなさい』
「おやすみ」
スマホの振動で目を覚ました
手探りでスマホを探し当て
眠い目を擦りながら見る
> 怖くなったら俺に電話して来いよ~
は?・・・・・何言ってるんだコイツ?
LINEなんかしてこなきゃ思い出さなかったのに!!
スマホを握りしめ怒りをあらわにしていると
カタンッと窓が鳴りビクッと震え布団を被った
『だ、だいじょ・・・・・キャッ!!』
布団を被ってブツブツ唱えていると
急に震えたスマホに驚き大きな声を上げてしまった
「どうしたっ!!!」
慌てて駆け込んできた鉄朗は
布団に包まって震えている私をみて驚いた
「陽葵?」
『・・・・・こわい』
「怖い??」