第5章 Taurus
シネマを出て近くの椅子に座って
スマホの電源を入れるとほぼ同時に電話が鳴る
《陽葵どこだ!?》
『7階のシネマの・・・・』
言い切る前にプツッと切れた
「黒尾なんだって~?」
『どこにいるか聞いてきたけど途中で切れた』
木兎からジュースを受け取り一気に飲み干した
ふぅ~と息を吐きやっと気分が戻ってきた
「陽葵!」
『わっ!鉄朗どうしたの?』
電話から数分後汗だくになった鉄朗が
走ってきた勢いのまま抱き着いてきた
「てめえ木兎!!
陽葵を攫ってんじゃねえよ!?」
「デートしてただけじゃん
怒んなよ黒尾」
「あ"デートだぁ?!」
『鉄朗っ落ち着いて!』
「おーいっ無事か?」
『やっくん!丁度良かった鉄朗止めて!!』
タイミング良くあらわれた夜久と海
どうにかこの場を収めて荷物を持って一度学校へと帰り
荷物を部室に入れ駅で2人と別れた
電車の中で終始無言の鉄朗だったが
手はずっと繋がれままだった
家に帰って来て直ぐに鉄朗はお風呂に
私は自分の部屋に入った
『あ~疲れた・・・・・』
ベットにダイブして大きな溜息を吐いた
暫くボーっとしてからノロノロと部屋着に着替え
夕食の準備をするためキッチンへ向かった