第5章 Taurus
「なあなあ♡」
『・・・・・』
「無視やめてッ!」
『木兎なんでいるの?』
鉄朗たちと別れ手分けして
買い出し中に出会ってしまった
「俺も買い出しだぞ」
『じゃあさっさと買い出ししなよ』
「もう終わった♪
陽葵手伝ってやるから
俺とデートして♡」
『無理ッ』
「そうと決まれば行くぞっ!!」
『わっ!無理だってば!!』
「ん木兎?なにして・・・・・」
「おっナイス夜久、パース♪」
「はあっ!?」
『いやぁー!やっくん助けて!?』
私が持っていた買い物かごを夜久に押し付け
身軽になった私を肩に担いで走り出した
「暴れてっとパンツ見えるぞ~?」
『ひゃっ!』
ジタバタ暴れているとお尻をスリスリと撫でられた
木兎は5階から7階まで駆け上がりたどり着いたのはシネマ
担いだままチケットを購入しシアタールームに入った
普通の席とは違うカップルシートを購入したらしく
広い座席にようやく降ろされた
「スマホの電源切るぞ~」
『ああっいつの間に!』
ポケットに入れていたスマホの電源を切り
ポイっと座席に置き捨てる
スマホに手を伸ばす私を木兎は
自分の膝の上に横向きに座らせた
『もう!いい加減にしてよ!?』
「シーッもう始まるぞ」
暗くなり始まった。そして数分後・・・
怪しい雲行きだと思っていたら
突然画面いっぱいに現れた血まみれで猟奇的な男の顔
『ヒッ!』
「おっ♡」
反射的に目の前にいた木兎にしがみつき
首元に顔を埋めてプルプル震えた
「うんうん
柔らかいしデカいな♡」
『へ?なにが??』
「こっちの話♪」
木兎から少し離れようとしたところで
大音量で女性の悲鳴が流れ木兎にまたしがみついた
私とは正反対に木兎は上機嫌で抱き締め返した
「ん~いい香り♡」
首筋に鼻を寄せスンスン匂いを嗅ぐ木兎に身を捩るが
しっかり抱き締められて身動きできない
『っ!な、なに?』
チリッとした痛みが一瞬首筋にあった
「内緒♪」
木兎から解放されたのはそれから1時間後のことだった