第5章 夢繰り屋発足。
保健室に着くまでも、着いてからも、
彼はずっと謝っていた。
保健の先生に二人分の氷のうを作ってもらい、
私はおでこ…、彼はあご…
二人で冷やしていた…。
それが何だか可笑しくて、
自然と笑ってしまって…。
そんな雰囲気の中だったからか、
彼に聞かれるまま、夢を操れる事…
夢日記の事…色々話していた。
始終、興味深々に話を聞いていた彼は、
その能力をもっと磨いてみないかと言い出した。
…今まで、私の夢の話を
真剣に聞いてくれた『友達』は
由紀だけやったから…
「俺と一緒に、新しい世界の扉、
開いてみよや。」
確実に私は、浮かれてた。
それに、彼の提案する
『夢を操る能力の世界』は、
どこまで広がっていくのか…自分でも興味が湧いていた。
その時の彼のとびっきり…
『優しい笑顔』
『優しい瞳』にも背中を押され…
つい、うなずいていた。
そして、その日から
彼にこき使われる事となる。
…だって、結局しんどいのは私だけなんやもん!!
…一緒にって言われたけど、そもそも能力持ってんのは
私だけやったやん!!
そんな初歩的な事に気付いた時には遅かった。
…懐かしい、ちょっと前の話。