第6章 靴箱の出来事。
…予鈴が鳴った。
浩二君に深々とお辞儀をしていた私は
チャイムの音で我に返った。
靴箱には、数人しかいない…
そんな彼らも、急いで教室へと
走って行く。
なんだか急に恥ずかしくなってきて、
顔も上げれず、浩二君に話しかけた。
「見てたんでしょ?最初は、真剣にやってく
つもりもなかったし、勝手に『夢繰り屋』なんて
同好会まで作って、迷惑やなって思った事もあった。」
「せやけど、浩二君がいなかったら、
私の能力も、ただの変な能力で終わってた。
皆、こんな私に、ありがとうって…
感謝してくれる。」
「でも、私は、浩二君に感謝してるよ。
誰かの役に立てる私にしてくれて、
…ありがとう。」
顔を上げるタイミングを完全に失ってしまった私は、
次、どうすればいいか分からずに
固まってしまっていた。