第2章 華守
「もう一度......出会えるならば...」
《無理だよ...そんなことしたらリオノーラは...》
「分かってるわ。そこまでの覚悟なんて...ない」
リオノーラは枯れてしまった1本の華を、瓶の中に入れて常に持ち歩いている
とても、大切に
「どのように...散ったのかしら」
《知らない方がいいよ。きっと、残酷なものだ》
「そうね」
死ぬことは残酷
私は死ねないのに、死ぬことを恐れている
消えていく、何も残らず肉体も精神も消えてしまう
「私は、いつか死ぬの?」
《...そんなことはない。だってリオノーラは神から永遠を与えられたんだ、から》
リオノーラの肩に乗るのは小さな白い竜
それはリオノーラにしか聴こえない声で話し続ける
《リオノーラが、永遠を手放したら、ここの華は枯れて、世界は朽ちてしまう》
「えぇ、だから私は、自分の自由を捨ててここにいる。悔いはないわ」
リューゲというその白い竜は、何かに勘づいたように鱗を逆立てた
「どうしたの」
《来るよ。強い...人間》
「そう、では唄うわ」
♪〜〜〜〜♪〜〜♪〜〜〜〜〜〜♪
「なんなの!この声!!うっ...頭が痛い...ッ!」
「耳を塞いでるのに酷く響く...気が遠くなるわね」
「...」
船の上では、革命軍の遠征隊が島から聞こえる謎の唄声に苦しんでいる
その唄は、サボにとってどこか懐かしげに聴こえていた
「女神アルテミスの...唄」
「耐えられない...ッ!!」
コアラが意識を失って倒れてしまう
ロビンも耳を塞いだまましゃがみこんでいた
「お前は......誰なんだ、?」
聴きなさい、愚かなる人間達
滅びの旋律を...