第4章 忌まわしき壁と記憶
時刻は昼過ぎ。
妹のカーラと逸れて恐らく30分は経過していた。
船へ乗る道を逸れて走った。
こんな時、始祖の力があればまた違った。
こんな所に散り散りになっている巨人達なんて私の命令一つでピタリと止めてしまえるのに。
そんなの、今の私に出来ないことも分かっていた。こんな時だけ自分のない力に頼る自分も嫌だった。悔しかった。
自分の不甲斐なさが。
自分の無力さが嫌でも突きつけられるから。
「カーラ…」
あの子はきっと、大丈夫。
きっと、まだ大丈夫なはずだ。
…何を根拠に?
わからない。
けれど信じるしかない。
祈らずにはいられない。
カーラが無事でいれるようにと。
もしもの事が起きていないように、と。
…私が助けられるのか?
自分自身さえ危うかったのに。
オルオが身を呈して守ってくれなきゃ死んでたかもしれなかったのに。
私は……助けられるの?
走っていた足が止まった。
何処にいるかなんて見当もつかなかった。
耳に響く沢山の叫び声。
沢山の血の匂いと異質な姿の者による捕食。
私は、もう諦めたほうがいいんじゃないか。
そう、思った時だった。
〝随分あっさりとした別れ方だな〟
「!」
そこには、誰もいない。
そりゃそうだ。
何故今、思い出したんだろう。
ただ、兵長がもしここに居たらきっとお前が思う通りにやればいい。
そう、いう気がした。