第4章 忌まわしき壁と記憶
「うそ……、」
やっとの思いでついた家は無残にも潰れていた。
もし、妹がこの中にいたとしたら……。
どんどん血の気が引いていくのがわかった。
……もう、死んだ……?
体に力が入らなくなって、そのまま地に足をついてしまう。
自分の無力さを痛感した。
「死にてぇのか!!!」
そこには、ぽつりと、地べたに座り込んでしまった私に怒る一人の兵士の人が息を荒げて
私の後ろに立っていた。
…そうだ。
確かさっき遠目で見た憲兵団の。
なんでここに…。
「でもおじさん!!妹が!!」
私を立ち上がらせた憲兵団のおじさんは行くぞ、と私を引っ張る。
でも、私は微かな可能性にかけたかった。
巨人によって潰されただろう家を見ながら。
「この状況をよく見ろ!今、お前が妹のところに戻ったとして、運良く見つけれたとしても共死にするだけだ!!わかるか!?」
「でも…!!」
そして、その時だった。
「……ちゃん……!」
「!」
妹の、声だった。
おじさんに掴まれた手を解いてゆらりと走ろうとした、まさにその瞬間だった。
「お姉ちゃ…んっ!!!無事だっ…きゃああああああ!!!!」
…やっと会えた。
そう思った。
その瞬間まで。
巨人に掴まれて叫び声をあげる妹の姿がそこにあった。
けれど、それよりも…
その巨人に私は釘付けになった。
「カーラ!!!!!?待って今行くから!!」
余りの、大きさに。
その大きさは普通の巨人の大きさなんかじゃない。
異質なデカさだった。
訓練兵の時に習った大きさなんかじゃない。
……まるで、私たち始祖と同じ様な大きさだった。
「おい!!お前!!やめろ!!」
伸ばしかけた手は
「助けて…!!お姉ち…」
一瞬で
「いやァ!!!!!カーラ!!!!」
意味のないものになった。
「…っ、………行くぞ!!」
「いやあああああああああ!!!!!!」
……だって、……妹が目の前で、その巨人によって無残にも投げ飛ばされたから。
おじさんは、私を担いで走る。
泣きじゃくって叫ぶ私を無視して。
私に、もっと力があれば…!!
私に、もっと力が…!!!
……覚えてろ。
覚えてろ。
絶対、絶対……殺してやる……ッ。
その、大型巨人を必死に目に焼き付け、睨めば一瞬立ち止まり振り返ったその巨人の目はゆらりと揺れた気がした。