第4章 忌まわしき壁と記憶
「…んー、あ。あった」
冬服とか夏服とか私の分も含めお姉ちゃんのも選んでいたら随分と時間が過ぎたような気がした。
急がなきゃ。
そして、それは突然だった。
鍵を持っているかを確認しリュックを背負う私はふと、視線を感じ窓をみた。
それがいけなかった。
いや、そもそもこんな状況下で家に入ったのがいけなかった。
何もかもが始めから間違いだったんだと思う。
「……ひ……っ……!!」
悲痛に近い叫びは咄嗟に口を両手で押さえてごくりと唾を飲み込むことで精一杯だった。
いる。
すぐ近くに。
大きな影が、通っていた。
私の家の前を。
どしよう。
どうしよう。
鍵をかけなきゃ。
開けっ放しだった。
音を立てないように動かなきゃ。
大丈夫…きっと、大丈夫。
するり、とするりと、ゆっくり足を動かす。
けれど、この家は築何年も経っている家だった。
ギシッ、
決して大きくはないがよっぽど耳がいい人がいれば聞こえるだろう、そんな音。
そして、その〝大きな影〟には聞こえていた。
窓に目を寄せて私をみたその大きな影と私はたしかに、目が合ってしまって。
私はもう……だめだと深く目をぎゅっと、瞑った。