第4章 忌まわしき壁と記憶
私は、家に押し潰されていた女性を見捨てその傍らにいた子供達も見捨てた。
注意ならできただろう。
けど、その立ち止まった一瞬に何か起きてしまえば…?
その考えが私に冷酷な判断を強いた。
「……あの子供達はきっと憲兵団の人に助けて貰える。行こう」
「うん……、でもどうしてそう言い切れるの」
「右斜め150メートル先に憲兵団と思わしき人がこちらに向かっているのが見えた。恐らくそういうことだと思う。あの子達の知り合いか何かかもね、随分と血相変えて走って向かっていたし。」
「本当に…お姉ちゃん視力いいんだね」
「…生まれつきでしょ」
話を逸らして走り出す。
今立体起動があって、そして今守るべきものが側になければきっと真っ先に助けただろう。けど、今の私には立体起動装置も無ければ守るべきものもある。
カーラ…カーラだけは助けなきゃいけない。
この子には未来がある。
沢山苦労をかけた分、未来を選んで掴んで欲しい。
細やかな私の願いだった。