第4章 忌まわしき壁と記憶
「んー、なんかねもういいかなって思ってる」
「え?」
「一応家主になってるし私も出て行けば絶対この家泥棒に入られちゃう。そんなの嫌だもん」
「だったら、その間は私が…」
「だーめ!」
「お姉ちゃんはそのまんまでいて。
それに、私ねおかえりって言うの好きなんだ」
カーラはにこりと笑う。
昔と変わらない笑顔で。
随分と伸びた髪を揺らしながら背伸びをしてだってね、と続ける。
「私、お父さんとお母さんがいなくなっちゃって買い物とか行った時やっぱり家でただいまって言っちゃうんだけどね。誰もおかえりって言ってくれないの。それって凄く寂しいことだなって気がついて…だからねお姉ちゃんには私がおかえりって言ってあげたいなって思うの。」
ダメかな、と困ったように頬をかくカーラは出来すぎた妹だ。
…私を責めたっていいのに。
カーラのお父さんとお母さんは私のせいで死んだも同然なのに。
どうしてこんな笑顔でいれるんだろう。
「お姉ちゃんはこう思ってるかもしれない。何で責めないんだろうって」
「……!」
「私も憎いとかそういう風に思うのかなって思ってた。けどね考えても考えても誰のせいでもないと思うの。私の思い出はやっぱり沢山いい思い出しかないから。お姉ちゃんを恨むなんて思いつかなかった。だからたった一人の家族を恨むとか憎むなんて出来っこないや。」
「カーラ………………」