第4章 忌まわしき壁と記憶
「お姉ちゃん、お姉ちゃんは…本当に戻らなくていいの?」
「うん、それに今は王様がいるじゃない。
私が戻らなくたっていいはず。あの偽物がいつ、バレるかにもよるけど…。それに今更本当の父が私を探していたとして戻る理由なんてない。どうして私が王位を継承して始祖の力も継承しなければならないの。
私は普通でいたい。今のままがいいの
わかるでしょ……カーラ」
ヒューっ。
やかんが大きな音を立てたことにハッとして
お互い顔を見合わせて椅子に座って、とカーラに促されカーラはすぐにやかんの火を止め今淹れるねと紅茶を注いだ。
「ごめんね熱いかも」
「そりゃそうでしょうね」
すぐ淹れられた紅茶を飲みたい気持ちもあったが今飲めば確実に舌を火傷するだろう。
少し冷まそう。
紅茶のカップに自身の顔が映り酷く醜く見えた気がした。
長い黒髪は一体どちら譲りなのだろうか。
ふと、そんなことを思い目を細めた。
「このまま、ずっとその名前で生きていくの?」
「本来の名の、マリア.レイスじゃなくてってこと?」
「………………うん」
「反吐がする。
誰が、ウォールマリア最初の壁の名前を名乗りたがるのよ」