第4章 忌まわしき壁と記憶
皆、私の答えを待っている。
私の言葉を待っていた。
でも言えるはずなかった。
今私の考えを話すこと、それは私の秘密も話さなければならないとわかっていた。
「……誰のせいでもない
…ただもう疲れた。それだけ」
「マリア……」
サラとペトラが私をまっすぐ見ている。
けれどその視線さえ今の私には辛いものでしかなかった。
そのまま背を向け歩き出そうとした時だった。
待てよ、とその声に止められた。
「ふざけんなよ。」
「え…?」
「リヴァルがお前を裏切ったのは確かかもしれねーけど俺たちは俺たちだ。」
「!」
「こんなことなら、始めから渡すんじゃなかった」
「お前に好きって、言っときゃこんなことにはならなかったんだ」
「は………?」
オルオが。
オルオが私を好き?
もしかして、あっちの意味で?
ぽかんとする私にオルオは我に返ったかのように顔を真っ赤にさせてああそうだよ、と距離を詰めて包帯が巻かれていない方の手で私の肩を掴む。
…凄い力。
「俺は!お前が好きだ!
けど今どうこうなりてえとか言わねえ。
俺を信じろ。今まで積み重ねてきた俺たちの時間を……信じてくれよ」
至近距離でこんなにオルオを見たのは初めてだった。
熱がこもっている。
私の肩を掴んでいる力が、目が、私を好きだと言っていた。