第1章 駆け出しの兵士達
(otherside)
あの事件の日以来からより一層覚悟を決めてここへ来たつもりだった。
エレンが訓練兵に志願するといったあの日。
私はエレンに続くように訓練兵になると言った。
エレンが行く場所は私の行く場所だから。
それになんの躊躇いなんてない。
エレンがあの場で逃げようと言うならば私はエレンと共に逃げただろう。それ程にエレンは私にとってとても大きな存在だった。
そして今日、訓練兵となった初日。
「貴様は何者だ!!!!」
上官らしき男が声を張り上げ凄い剣幕でアルミンに言葉を投げかけている所だった。
「はい!!!自分は!!」
長々と続く挨拶は恐らく全員に向けられるのだろう。
けれど私やエレン、他数名はその問いかけをされてはいない。恐らく覚悟を見極めているのだろうと思った。けれど私は上官のその隣にいる人に目がいった。
恐らく私だけではない。
嫌でも目が入るという方が正しい。
隣で人1人分の距離を保ちながら特に何を言うわけでもなくメモのような物を持ち歩きながら1人1人終わる度にメモをしている様子が伺えた。
もう既に点数をつけられているのだろうか。
どうなんだろう。
初めから覚悟ができている私やエレンはもう既に点は取れているだろう、その点でいうと。
ただ、そのままちらりと見ていただけな筈なのに視線に気がついたのか目が合ってしまった。
「ーーーーっ…」
……………この人は、何故ここにいるのだろう。
そう不意に思ってしまった。
別に驚くようなことでもないのに背中に冷や汗が流れた。まるで本能が目の前の人間を恐れているようだった。
だって、余りにもどこか遠い目をしていたから。
まるで私達が見えていないかのような。いや、あの目は私たちを人間としても見ていないのかもしれない。
…考えすぎだろうか。
この一瞬で。