第12章 俺たち海常男バス部!!~海常~
『わ~、どれにしよう。う~ん、悩むなぁ…。あ、期間限定のマンゴーパフェだっ!これにしても良いですか?』
「俺はDXチョコサンデーでお願いします」
ちゃっかり一番高い品を頼む兄ときちんとお伺いを立ててくれる妹。その様子に兄妹以外の全員が"流石オレらの心の妹、荒んだ心を癒してくれるなぁ"と感動したのだった。
兄の方は可愛くないというのは最早言うまでもない。
(て言うかっちと一緒に海に行って花火をして夏祭りに参加出来たとしたら、誰から見ても夏を満喫したといえるんじゃ無いッスか!?)
(そうか……!!何でこんな簡単な事に気が付かなかったんだ…!!?)
(だが阻止)
パフェを頬張るを他所に、黄瀬と森山が往生際の悪い思い付きを小声で囁きあい、中村(兄)がバッサリ切り捨てる。
水面下での攻防を他所に笠松、小堀、早川についてはの姿に和む事ができ、もう充分とばかりに頬を緩めてチビチビとコーヒーを啜っている。平和な風景がそこにはあった。
だがその平和は森山の次の一言で砕け散るのだった。
「中村お前には合コンで散った哀れな先輩を元気づけようという後輩魂は無いのか!?…あ…」
あーあ言っちゃった。
『あれっ、皆さん合コンだったんですか』
の言葉に困ったように笑う小堀、青筋立てて手で顔を覆う笠松、アワアワと顔を青くする早川に黄瀬、冷や汗ダラダラの森山。
中村(兄)だけは呑気にパフェについていたスコーンをかじっている。そのサクサクポリポリと言う音が嫌に耳につく。
「いやっ、これはね、『ありゃ、それは皆さん勿体ない事しましたね』…ん?え?」
からの冷たい目線なんて浴びたら俺ら死んじゃう、とばかりに森山が声を掛けようとするが、同時に喋ったの言葉に皆して目を瞬かせる。…怒っても軽蔑されても、ない…?
先輩の言葉に被せちゃってごめんなさい先にどうぞ、いや大した事じゃ無かったよちゃん続けて?
そんなやり取りの後に語られたの言葉は想定外のものだった。