第11章 平穏ってなんだっけ~キセキ+α~
気を取り直してドアをスライドさせる、否させようとした。
…開かない。試しに引いて見るが当然開かない。
ここで先ほどの夢がフラッシュバックした。
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ガタイの良い高校生らしき人物が数人、どこかの体育館に閉じ込められる。中には自分が通う高校のジャージを身に包む見知った顔もあるが、他校のジャージを着ているメンツが殆どだ。見たことないと思うんだけど何ヒトの夢に出てきてるのかと思う。
会話からどうやら皆バスケ部という繋がりがあるらしい。
ドアは開かない、場所も不明、携帯は圏外。混乱しているそこに一人の少女が現れ、これはゲームだ、出たければクリアしてみろと嘲笑う。
少女が消えドアが開くようになったと思えば、出るわ出るわグッロイ化け物の数々。廃墟のような学校を探索しヒントを集め、協力し知恵を出しあい謎を解き、化け物を倒しついに少女を追い詰める。最後の舞台は最初の体育館。
グロテスクな化け物があれほど気持ち悪くなければ、飛び飛びに情景が見えるその夢だって、いいぞもっとやれ、頑張れ皆、ついにゲームクリアだ!とそれこそゲームを見ている感覚で応援出来ただろう。
だがその夢は後味が悪すぎた。詰め寄られた少女は、事もあろうに逆ギレして皆を道連れにしたのだ。
こんなに想ってるのにどうして誰も私の気持ちに応えてくれないの、私は皆に愛されるべき存在なのに、愛してくれないなら皆で死のう、という何とも自分勝手な台詞を並べ、その世界に皆を縛り付けた。
出る術のない彼らはそれでも誰一人少女に屈する事なく倒れてゆく。その少女の狂ったような高笑いで目が覚めたのだからもう本当に最悪。
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そう言う訳で、少なくとも普段なら絶対出ない行動に私は出た。
『うぜぇぇぇ、逝くなら一人で逝けやぁ、シバくぞ!!』
叫びながらの回し蹴り。勿論中に居る人は驚くだろうが、まさか壊れるハズはあるまい。どうせ残ってるのはクラスメイトとその部活仲間、多少の挙動不審はスルーしてくれるだろう。
そう思い、件のクラスメイトの口癖を真似てガンっと扉を蹴りあげた。