第10章 つまりはそう、キミのせい ~赤司~
赤司side
「、やっぱりお前が好きだ、付き合ってくれ!」
部活に向かう途中聞こえて来た叫び声に思わず振り返ると、少し離れた所に手を掴まれ告白される先輩の姿があった。
途端に心がざわつく。
元々人見知りな先輩は、仲良くなった人物にしか素を見せない。中学の時はその見た目に加え虹村さんという最高クラスの護衛がいた為告白するような輩は居なかった(アイツは妹みたいなもんだと良く言っていた)。
だが今の彼女は知らない人間から見てもはっきり可愛いといえるし、成績も優秀。加えて目立つ人物と行動を共にしているから自然と注目を集めている。
ー告白されてもおかしくない。
僕はどうして余裕でいられたんだろう?
彼女が僕を好きになる保証なんて無かったのに。
やっぱり好きだ、だと?
もしかして付き合っていたのか?髪を切ってコンタクトにして、可愛くなったのはソイツの為なのか?
気が付いたら人の間を縫って駆け出していた。最初に叫んだ後も2人は何やら言い争いをしていたが、距離があり聞き取れない。
「っ、何で今さら可愛くなるんだよっ!?俺への当て付けかよっ!?」
やっと側までたどり着いて、聞こえて来たのは逆恨みも甚だしい台詞。
そして見えたのは冷ややかな目で男子を見る先輩と、ぎっと睨み付けて彼女に手を振り上げる男子。
それを見て彼女がビクッと身を竦め目を瞑る。
「が可愛いのは元からだよ。そんな事もわからなかった癖に逆恨みで彼女に危害を加えないでくれるかい?」
僕は迷うことなく彼女を抱き抱え、もう片方の手で男子の手を掴んだ。僕の腕の中で彼女が驚きに身を揺らすのが分かり思わず口角が上がる。
「何だよテメェはっ!?」
『あ、かし…!?』
「何って、の彼氏だけど?勘違いしているようだけど、短い髪もコンタクトも、僕の趣味に合わせてくれたからだよ。どんなでも僕は好きだから、お前みたいな馬鹿が増えるなら前のままでいてもらったら良かったかなとは思ってるけどね。ー分かったらさっさと消えてくれるかい?」
これ見よがしにの頬に唇を寄せて男子を牽制しながら捲し立てる。