第1章 甘い毒にはご用心 ~黒子テツヤ~
何で黒子の表情の違いが分かるか?
そんなの、ずっと見てたからに決まってる。
何で見てたかって、そんなの好きだからに決まってる。
そこまで考えて、愛の力、何て表現をした黒子がそれに気が付かない訳がないという結論にたどり着き、途端顔に一気に熱が集まるのを感じた。
「ふふ、やっぱり答えは言わないで下さい。ボクから言いたいですから。・・・さん、ボクは中学の頃からキミのことが好きです、付き合って下さい」
パクパクと酸素の足りない金魚のようになっている私に向かって、更に追い討ちをかけるようにそんな言葉を紡ぐ黒子。
中学の時の、普通なら忘れてしまいそうな他愛ない会話。
オススメして貰った本の数々。
黄瀬くんファンの友達にくっついて、という名目で見に行った練習や試合での黒子の姿。
黒子が部活に悩んでいる時に、少しでも気が紛れないかと振った話題の数々。
そういった記憶がキラキラと頭のなかで舞い上がり、気がついたらボロボロ泣きながら返事をしていた。
『もち、ろん!!てか絶対私の方が早くから好きだったから!!』
・・・素直になりきれないのは性分らしい。