第10章 つまりはそう、キミのせい ~赤司~
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「ああ先輩、コンタクトにしたんですね。可愛いですけど他の男に見せるのは頂けないですね、メガネに戻しませんか?」
「奇遇ですね先輩、僕も昼食ご一緒しても良いですか?」
「先輩も学年首位ですか流石ですね、お揃いだなんて照れますね」
正直に言って良い?………めっっっっっっちゃ怖い。
春休みに再会して以来、事あるごとに上記のような言葉をぶつけて来るようになった赤司。
お陰で新学期だというのに私はメンタルブレイク寸前。
1on1で部員をコテンパンに打ち負かして1年で主将になったり生徒会長になってたり相変わらずのタメ口+無表情で先輩に接する赤司だが、私に対しては敬語+笑顔。
「や~、ってば愛されてるねー!!ね、ね、もう付き合ってんの!?」
『はい?どこをどう解釈したらそうなんのよコタ……』
「アラ、知らないの?貴女に見せる表情と普段とのギャップが堪らないって、人気上昇中なのよ彼。1年で主将、眉目秀麗、運動神経抜群、頭脳明晰の彼が表情を崩してるとカワイイ、っていくらでも誉め言葉が沸いてるみたいよ」
『レオ姉、それだ!!』
漸く理由が分かった。悔しいけど人心掌握に長けたあいつの事だ、ギャップを見せる事で周囲の人間を手っ取り早く味方につけようとしているに違い無い。
部活では厳しくする必要があるが、どんなにチートでもヤツは1年、それにチートだからこそ凡人からのやっかみや反発は免れない。現に、スタメンのこの3人ですら赤司の実力を目の当たりにするまでは複雑な思いを抱えていたというし。
そこで私の存在だ。赤司に言い寄られても、毛嫌いしている私が靡くはずが無い。
それを見て溜飲を下げる男子、ギャップに悶える女子。
部活に集中したい赤司も言い寄る相手に本気にされては困る。あ、あいつが居るじゃんみたいな理由で私をチョイス。流石赤司、そこに痺れない憧れないぃ!!
人の事サンドバッグ扱いかよアイツ…!!