第10章 つまりはそう、キミのせい ~赤司~
「お久しぶりです先輩、会いたかったですよ」
『確かに私の名前はだけど、人違いジャナイカナ?』
「…僕が先輩を見間違えるとでも?」
『そこは間違えておいて良いよ…』
おぅふ。全ての不運を更に上回る凶事が待っていたとは…!!
そこには、体育館に射し込む爽やかな朝日を浴びて真新しいジャージに身を包む後輩、赤司征十郎が立っていたのだった。様になってるなんてチラリとでも思ってしまった我が脳味噌の残念さに絶望。
白金監督め…!!何が"キセキの世代の誰を獲得したか?んー、ナイショです"、だよアノヤロー!!厨ニのラスボスじゃないですか!!何でよりによって私の一番苦手なコイツなんですか…!!?
そのオッドイは自前か?自前なのか?まさかカラコン!?邪気眼的な設定なの!?
「先輩は、綺麗になりましたね。…やっぱり、髪は短い方が良く似合いますね。眼鏡はどうしたんですか?コンタクト…は入れてないみたいですけど…?」
『エッ今度は何企んでんの!?』
気が付けば猫のようにしなやかな動きでそばまで来ていた赤司。すっと手を挙げたかと思うと私の髪を優しく鋤きながら微笑んだ。
瞬間背中にゾワッと鳥肌が立ち慌てて距離を取った。端から聞いていれば甘いセリフに行動だが、中学時代彼から受けた仕打ちを思えば警戒心しか湧かない。
あとなんで裸眼って判るんだよ怖いわ!!
「心外ですね、同じ中学から進学校してきた可愛い後輩に向かって企む、だなんて」
『私にとっての可愛い後輩はあんたらの代だったら黒子と緑間だけだからね?赤司の何処に可愛い後輩要素があるのよ』
毛を逆立てた猫よろしく反論すれば、笑みを深くする赤色の魔王。うわぁ…。