第7章 たとえばこんな幽霊奇譚~火神大我~
だが火神の言葉を聞き、伊月と日向がとんでもない発言をした。これには黒子も火神も心底驚くばかりである。
「っはぁっ!!?どういう事だよ!!……ですかっ!!?」
「落ち着けって。そいつ2年で俺やリコと同じクラスのっていうんだけどな、4月の始めに事故ってな。ーあぁ、命に別状はねんだけど目を覚まさないらしくて」
「生きてるから幽霊っておかしいけど、あまりにも特徴が同じだよな」
「写真とか無いんですか?」
「あーそっか。おーいカントクー、の写メ無いかー?カントクー?」
日向の言葉につられて黒子と火神もカントクの方へ目線をやる。カントクは体育館のドアの所で誰かと話をしているようだ。角度のせいか相手は見えない。
と、丁度呼ばれたカントクがこちらを向き、あろうことか体育館の外にいる人物に自分を指差して教えているようだった。
ん?俺か?と思ったその瞬間目に入ったのは桜色のカーディガン。
満面の笑みでこちらに駆けてくる、愛しい彼女の姿がそこにあった。
迎える俺も、同じような顔だったに違いない。
そのあと彼女から、事故に遭う前に図書室から偶然見えた体育館に俺が居て一目惚れした事、そしてそれを思い出した瞬間意識が戻った事、退院して真っ先にここに来た事などを抱きつかれたまま言われ、俺だってお前が好きだと叫んでしまい、他の部員から盛大に冷やかされたのは言うまでもない。
fin
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