第7章 たとえばこんな幽霊奇譚~火神大我~
目に見えて落胆した火神だったが、せめて彼女についてもう少し調べて見よう、と黒子に説得されやや強引に気持ちを切り替えた、のだが。
「なっんも、分からねーな……」
「そうですね……」
相変わらず彼女の情報は全くもって謎であった。
もしかして誠凛と関係ないのだろうか。でもそれなら何故制服なのか。2人は首を傾げるしかなかった。
「なんだお前ら、まだ図書室の幽霊がどうのとか言ってるのか」
「2人は実際にその幽霊見たのか?どんな感じだった?」
部活の休憩中2人で頭を捻らせてそんな話をしていると、日向と伊月がタオルで汗を拭いながら聞いてきた。
2人は特に幽霊の類いを信じている訳では無い。
だが火神の調子がどことなく良くないのを感じていて、何か力になれたらと思っていたのだった。
その言葉に黒子は、そう言えば彼女の容姿について説明した事は無かったな、と思い至る。
普通に容姿を伝えて探した方が早いのかもしれない。
「……何か目がくりっとしててちょっとたれ目、髪の毛が肩くらいの黒髪で、ココんとこにほくろがあって、下唇がぽってりしてて笑顔が可愛くて、小柄で細っこくて、あと制服の上に桜色のカーディガン着てるヤツだ……です。」
黒子が口を開くより先に火神が自分の左耳を指差しながらつらつらと特徴を述べる。
左耳のほくろ?人間観察が趣味の黒子ですらそこまで気が付かなかった。というか何だろうこのベタぼれ感。
あのバスケバカの火神が、とその場にいた全員の思いが一致した。
「……ん?それって、じゃないか?」
「…!おー、確かに特徴合ってっけど。縁起でもねぇ事言うんじゃねぇよダァホ!!」